今回は長文。
とてもまとめられない一皿。
銀座杉もとの親方とは、
鮪の打合せをよくします。
最近お鮨屋さんだけでなく、
和食屋さんでも鮪の手巻きを出すお店が増えていますよね。
美味しさに加え、
入れるものによってお店のオリジナリティが出せる。
手渡しの演出も楽しい。
料理の間のアクセントとしては、
たまらない一品。
杉もとには鮪の手巻きはありません。
私はよく、手巻きやろうよと言っていました。
親方ならどんなものを入れるのかな?と。
先日お店に伺った時に、
試作の巻きを初めて食べました。
その鮪の巻物は、
私の想像を超えていました。
全て計算された巻物。
一般的には、
赤身と中トロに切り分けます。
写真でおわかりかもしれませんが、
海苔のサイズは通常の巻き簀で巻くサイズ。
親方は赤身と中トロを切り分けず、
一本のまま出してきます。
さっと漬けにして、食べやすい様に配慮。
軽く巻くと醤油を付けた時に、
シャリがポロッと。
皆さんもそんな経験あるのでは?
これをお好みで山葵をのばして、
お客様自身に巻いて貰うのです。
細巻きをそのままかぶりつく感覚。
面白い!
右利きであれば、
赤身が左側に出されます。
それを長いまま頬張る。
二口で食べれば最初は赤身、次は中トロの巻物。
三口で食べれば最初は赤身、
次は赤身の香りを楽しみながら少しトロの味わいが。
最後は濃厚なトロ。
鮪も太めで、しっかりとした食べ味。
いい!
同じ事が他のお店でもできそうですが、
それは不可能でしょう。
私の鮪はわがまま。
一般的な高級なお鮨屋さんが扱っている鮪とは違います。
職人さん泣かせの鮪。
ただ可愛がってあげると、
とんでもない威力を発揮します。
親方が選んだ鮪巻きは、直球勝負。
この巻物の為に新たに合わせた鮨酢と、
又々この巻物に合った明石の海苔。
この三つがあってこそのもの。
美味しい!
コースの中での一皿ですが、
その存在感が凄い。
ぜひ皆さんにも召し上がって頂きたい逸品です!